一茶庵・煎茶・文会

自分で楽しみ、自分を愉しむ「自娯」の世界

  当代  佃 一輝
(つくだ いっき)

一茶庵宗家。字の亦(えき)により佃亦(でんえき)とも。別に亦石(えきせき)、無禄(むろく)の号があります。先代江南・佃一祐について煎茶文人趣味を学び、昭和五十六年『名品煎茶器』(世界文化社 1981)の編著にたずさわります。
翌年昇玉好みの器物を『文人茶粋抄』(茶道花道連盟)にまとめ、昭和六十年『煎茶の旅~文人の足跡を訪ねて』(大阪書籍1985)を著して、文人趣味としての煎茶の歴史を紹介。煎茶道とは異なる文人茶の系譜を分かりやすく示して話題になりました。

 煎茶茶事(文会)の伝承をもとに、一松以来伝わる文人たちの「唐料理」を基盤にして、三友居、高麗橋吉兆、金田中と煎茶文人会席の料理の再生をはかり、また平成初年からジャクソン・ポロック、デ・キリコ、アンディー・ウォフォールなどの作品と中国官窯陶磁器を取り合わせる茶事(文会)を試みました。
 文人の煎茶趣味は、美術と文学を含めた「美の出会いと語らい」として、古典をもとにしたアーティスティックな取り合わせで知られます。
 論文に「去俗と清」(『茶道文化論 茶道学大系一』淡交社1999) や「煎茶の理念と表現」(『講座日本茶の湯全史 第二巻近世』思文閣出版2014)など。著書には前記のほか『おいしいお茶9つの秘伝』(NHK出版2000)などがあります。

 
■一般社団法人 文人会 一茶庵 理事長
■著書
「煎茶の旅~文人の足跡を訪ねて~」
大阪書籍
(1985年)
■著書
「おいしいお茶9つの秘伝 煎茶を愉しむ」
NHK出版
(2000年)
■著書
「茶と日本人」
世界文化社
(2022年)
■代表的な論文・エッセイ
「煎茶道具の形式と特色」
「去俗の茶」
世界文化社 「名品煎茶器」(1981年)
「人物項目」
主婦の友社 「煎茶の用語集」(1988年)
「文人趣味とその流入」
大修館書店 「しにか」(1991年)
「文人と煎茶」
ぺりかん社 「江戸文学17」(1997年)
「秋成の“清”」
ぺりかん社 「江戸文学18」(1997年)
「“寄り合い”を読む」
駿々堂 「寄合書画帳 文人書家」
江戸名作画帳全集 (1997年)
「煎茶の美意識“去俗”と“清”」
淡交社 「茶道文化論」 茶道学体系第一巻
(1999年)他
「『木村蒹葭堂のサロン』に寄せて」
茶の湯文化学会 「茶の湯文化学 十号」(2005)
「文楽・植村霞亭の茗筵を読む」
野村美術館 「研究紀要 第16号」(2007)
「煎茶と文人」
エネルギー文化研究所「情報誌CEL Vol.118」(2018)
玉堂清韻社報 第8号
ほか多数
雑誌連載
「茶遊び味遊び 佃一輝(一茶庵)の煎茶会席」
婦人画報 1995 1月号から12月号まで
「至福の煎茶」「和楽的文人になる」
和楽 2001 10月号から 2004年 3月号まで
  一茶庵嫡承  佃 梓央
(つくだ しおう)

慶應義塾大学文学部卒業。東京藝術大学大学院美術研究科中退。父佃一輝に師事。号は如翺(じょこう)。
関西大学非常勤講師や朝日カルチャーセンター講師を務めています。
2016年夏から2017年新春まで5回「大阪日日新聞コラム『澪標』」にコラムを掲載しました。
2018年にはグランフロント大阪北館ナレッジキャピタル「超学校」にて、レクチャーシリーズ「MOU-ICHIDO大阪文化」と「『集まり』と『交わり』の文化論」をコーディネートし、現代・未来社会における古典文化の学びを提案しました。

また2018年から、さまざまな芸術作品のデジタル画像を使いながら、お客様と数人の専門家の対話形式で行う茶会「超茶会」を、グランフロント大阪北館シマノスクエア、和泉市久保惣記念美術館、泉屋博古館等でスタートさせました。
G20大阪サミット2019では「配偶者プログラム」1日目に茶事を担当し、江戸時代・明治時代に大阪で盛んに行われ、今なお続く煎茶や文学や美術を介した人と人との交遊を、各国首脳のパートナーの方々とご一緒しました。
2020年より、ミヅマアートギャラリー、繭山龍泉堂と共同し、現代アートと中国古美術とが煎茶を介して出会う新感覚のサロン「ART GATHRING」を立ち上げ、新たな美的価値を模索しています。

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